子宮頸がんで苦しまないために…子宮頸がん経験者が伝えたいこと

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2021年2月25日、わたしは子宮頸がんの治療として広汎子宮全摘術の手術を受けました。

広汎子宮全摘術とは?
  • 子宮頸がん ステージⅠB・Ⅱ期の標準治療
  • 子宮だけでなく、子宮の周りの組織や膣の一部、卵巣、リンパ節など広い範囲を切除する手術
    (卵巣は温存する場合もあり)
  • 術後の後遺症としては、排尿障害・リンパ浮腫・腸閉塞など

入院期間は約2週間。
手術後はかなり辛かったですし、後遺症の排尿障害でしばらく自己導尿を行なっていました。

それでも予定通り育休を終了し、仕事に復帰。自己導尿も4ヶ月ほどで卒業し、がん発覚前とほぼ同じ日常を送ることができています。

今回、手術から1年経ち、子宮頸がんを経験したがんサバイバーとして改めて伝えたいことをまとめました。

2人に1人はがんになる時代。
それでも「がん」は多くの人にとって他人事です。

テレビでドキュメンタリーを見ても、ネットで闘病記を読んでも、なかなか自分ごととして捉えることは難しいと思います。

それでも1人でも多くの人に「自分ごと」として考えてもらうきっかけになったたらいいなと思い、今回の記事を書いています。

今回、子宮頸がんサバイバーとして伝えたいことは次の2点です。

  1. 子宮頸がんは他の癌より平均罹患年齢が低い
  2. 子宮頸がんで苦しまないためにできることがある
    (子宮頸がん検診・ワクチン接種)
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子宮頸がんとは…?

最初に私が経験した子宮頸がんとはどんな病気なのか説明します。

子宮頸がんとは、子宮の入り口にできるがんです。
(赤ちゃんが産まれるときに通る産道の一部です)

毎年約1万人が子宮頸がんと診断され、約3000人の方が亡くなっています

子宮頸がんは、他の癌とは異なる次の2つの特徴があります。

  1. 子宮頸がんの発症のピークは30代後半から40代
  2. 子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染が原因

もう少し詳しく説明します。

子宮頸がんの発症のピークは30代後半から40代

2人に1人が癌になる時代とはいえ、周りを見回してもがん患者が溢れているわけではありません。

それはやっぱりがんになる人はお年寄りの方が多いからだと思います。

参考までに日本人で一番多いがん、大腸がんになった方の年齢別罹患率を確認してみたいと思います。

罹患率(りかん率)とは…?

新たに「がん」と診断された人数を人口で割った数値。
通常1年単位で計算され、「人口10万人あたり何例」という形で表現されます。


次⏬のグラフの通り、大腸がんのピークの年齢は80代以降です。

出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」

もう一つ、若い方が発症しているイメージもある乳がんのグラフも合わせて確認してみます。

40代後半から急激に増えますが、ピークは60代です。

出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」

最後に子宮頸がんの年齢別グラフは次⏬の通りです。

他のがんと比べて、グラフの山が左寄りです。
ピークは40代。最近は30代後半の患者も増えており、さらに若年化が進んでいる傾向があるそうです。
つまり、子宮頸がんは若くしてかかることが多いがんだと言うことがわかります。

出典:「国立がん研究センターがん情報サービス」

30代後半から40代は、仕事も忙しく、子供がいればまだまだ子育てに忙しい年代です。
発症年齢が低ければ、ライフイベントに影響する可能性が大きいです

自分にがんなんて関係ない!と思わずに、誰にとっても無関係でないことは意識してもらえたらいいな。

ちなみに、子宮頸がんの発症ピークは30代後半から40代ですが、乳がんと比べて罹患者数自体は少ないので、例えば40代前半の罹患率は乳がんの方が高くなっています。

子宮頸がんの原因の多くはHPVウイルス

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)の感染によるものだということがわかっています。

がんの原因というと、喫煙や飲酒、その他の生活習慣を思い浮かべる方も多いかもしれないね

ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)は、性交渉を経験したことのある女性のほとんどが一生に一回は感染すると言われています。

しかし、そのほとんどは免疫によって排除され自然治癒しますが、自然治癒しなかった一部の人は長期間に渡り感染状態が続き、それが数年かけて子宮頸がんに進行します。

身内にがんになった人はいないから、がん家系でもないし、健康には自信がある!

そう思っていても、子宮頸がんの原因は知らないうちに感染しているウイルスです。

性交渉の経験のある人なら、誰でも子宮頸がんになる可能性があることは、ぜひ知っておいて欲しいと思います。

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子宮頸がんで苦しまないためにできること

それでは、がんで苦しまないためにできることはあるのでしょうか?

たばこを吸わない、吸っている人に近寄らない、バランスの取れた食生活など基本的な生活習慣も重要です。

ただ、子宮頸がんに関していえば、次のことができます。

  1. 子宮頸がん検診を受ける
  2. HPVワクチンを接種する

もう少し詳しく説明します。

子宮頸がん検診を受けよう

子宮頸がん検診では、先にブラシのついた専用の器具で子宮の入り口から細胞を取り、異常な細胞がないかを調べます。

検診が推奨されているのは20歳以上の女性です。

がん検診で、推奨年齢が20歳からとなっているの子宮頸がん検診だけです。
(乳がんや胃がん検診の推奨年齢は40歳からです)

それだけ若いうちにかかる人が多いがんだということがわかります。
しかも、若い年代で子宮頸がんにかかる方は20年前に比べて2~3倍に増えているそうです。

子宮頸がん検診の接種率は約4割

少し、子宮頸がん検診の実態を確認してみたいと思います。

2019年の調査では、子宮頸がん検診の接種率は43.7%でした。
そのうち、20代の接種率は26.5%で、約4人に1人しか受けていませんでした。

この接種率は他の国と比べても低い数字です。

アメリカ84.5%
イギリス78.1%
オーストラリア57.3%
韓国51.7%
OECD, OECD Health Data 2015, Nov 2015.より

なぜ日本では子宮頸がん検診の受診率が低いのでしょうか。

  • 内診が恥ずかしい。
  • 20代・30代で子宮頸がん検診が推奨されていることを知らない
  • 忙しくて検診を受けている暇がない

理由は色々と考えられますが、やはり「がん検診」と言われても「自分ごと」と感じることができないからだと思います。

最近は、会社の健康診断に子宮頸がん検診が含まれていることが多くなっているといいます。

でも、それ以外の方、主婦や学生、フリーランスの方は意識してがん検診を受けているでしょうか。

私が主治医の先生に言われて心に残っている言葉の1つが…。

小さいお子さんを残して亡くなったお母さんをたくさん見てきました。

30代後半から40代であれば、まだまだ小さいお子さんがいる方も多いですし、20代ではあればこれから妊娠を望んでいる方も多いと思います。

早期発見であれば、2泊3日程度の手術で済むことも多いですし、その後の妊娠も問題ありません。
(早産等のリスクはあがるとも言われています)

私の場合、毎年がん検診を受けていましたが、子宮頸がんが発覚し結局子宮を摘出しました。
でも、選択しなかったとはいえ、子宮を残す選択肢は残っていました。
恐らく未婚だったり、子どもが1人もいなければ子宮を残していたと思います。

正直、毎年検診を受けていたのに…という思いがあったけど、

検診を受けていなかったらもっと進行していたんだと思うとゾッとします。

また、今回がんと診断され、手術するにあたって、家族には大変な負担をかけました。

私は手術だけで治療は完了し、経過観察となっていますが、追加治療(放射線治療や抗がん剤治療)が必要となれば、さらに家族の負担は重くなったと思います。

これは子宮頸がんに限らず、他のがんでも病気でも同じですが、病気になればそれは自分だけの問題ではすみません。

自分ため、そして家族のためにもがん検診は定期的に受けてください。

子宮頸がん検診はどうやって受けるの?

子宮頸がん検診を受診する方法は、大きく2つに別れます。

  1. 会社の健康診断で受ける
  2. 市町村が実施している検診を受ける
会社の健康診断で受ける

職場の健康診断の項目の1つとして、子宮頸がん検診を受けられる企業は多いです
私の会社でも25歳以上はオプションで子宮頸がん検診を選択できます。

「内診が嫌」「内診台が苦手」と感じて避けている方もいるかもしれませんが、わざわざ婦人科に出向かなくても検診を受けられるチャンスを逃さないでください。

検査自体はものの数秒で終わります。
内診台に乗っている時間も1分程度だと思います。

市町村が実施している検診を受ける

お住まいの市区町村が実施しているがん検診に申し込みます。

2年に1回、対象の年齢の方に案内を送っている自治体もありますし、検診費用は補助が出ることも多いです。

私が住んでいる市では、対象者に検診の案内はがきが届き、自分の好きなタイミングで婦人科に出向き検診を受けるという流れでした。
ちなみに、検診費用は全額補助で自己負担はありませんでした。

会社の健康診断とは違い、自分で手配が必要なことが多く面倒だと感じるかもしれません。

婦人科は混んでいることも多く、なかなか検診にいく時間がとれないかもしれません。

それでも将来妊娠を望んでいるなら。家族と一緒にずっと元気に過ごしたいなら。検診の優先順位は低くないと思います

HPVワクチンの接種

子宮頸がんのほとんどの原因がHPVウイルスのため、ワクチンで防げるがんです。

ワクチンでがんが防げると聞くと、意外に感じられる方も多いと思います。

実際、日本でのワクチン接種率はとても低く3.3%です(2019年実績)

現在、HPVワクチンは定期接種の対象となっており、公費負担(自己負担なし)で受けられます。

定期接種の対象は、小学校6年生から高校1年生までの女の子です。
ワクチンは、HPVウイルスに感染する前、つまり性交渉を経験する前に接種する必要があります。

HPVワクチンとは…?

では、ワクチンにはどれほどの効果があるのでしょうか。

ワクチンの効果は?

HPVワクチンにより、子宮頸がんを起こしやすいHPVの型の感染を防ぐことができます。

それにより子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐことができます

現在、一生のうちに子宮頸がんになる人は1万人あたり約132人です。
(女子校なら2クラスに1人くらいのイメージです)

そのうち、子宮頸がんで亡くなる人は1万人あたり約30人です。
(同じく女子校なら10クラスに1人程度のイメージです)

もし、ワクチンを受けていたら、そのうち約70人が子宮頸がんにならず、約20人の命が助かる試算されています

世界保健機構(WHO)はHPVワクチンの接種を推奨しており、他の国でのHPVワクチンの接種率はもっと高い数字です。

アメリカ55%
イギリス82%
オーストラリア80%
厚生労働省のパンフレットより

日本での接種率が低いのは何故でしょうか。

2013年3月にHPVワクチンが定期接種化されましたが、その直後6月にワクチン接種の積極的勧奨が中止されました。

積極的勧奨の中止とは、自治体から対象者に案内のハガキを出すことや積極的に接種を呼びかけることを行わないことです。

積極的接種が中止された理由は、接種後に副反応と思われる症状の訴えが相次いだためです。
それを受けて、メディアで副反応と思われる症状が繰り返し報道され、接種率は落ち込んでしまいました。

ワクチンのリスクは…?

厚生労働省のパンフレットより

  • 接種後、多くの方に接種部位の腫れ・痛み、赤みなどが起こる
  • まれに重いアレルギー症状や神経系の症状が起こることがある

しかし、2021年11月に開催された専門家会議で、安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められたことで、積極的勧奨が再開されることになりました。

今後は、対象年齢になると自治体から接種案内が届くようになるので、接種の機会を逃さないようにしてほしいと思います。

接種対象者は未成年だから、副反応が心配で接種を迷う気持ちはわかる。

けど、がんになった時のリスクの方が大きいと思う。

諸外国ではワクチン接種が進んでおり、子宮頸がんの罹患率が下がっていることもあり、子宮頸がん治療薬の研究はあまり進んでいません。

子宮頸がんでは使える抗がん剤が少ないと言われている理由の1つだと思います。

ワクチンに対する判断は各ご家庭で分かれるかもしれません。

でも子宮頸がんを防ぐ方法としてワクチンがあること。その効果とリスクについてはぜひ知っていて欲しいと思います。

まとめ

今回、長々と書いてきましたが、結局言いたいことは次の3点です。

子宮頸がんで苦しまないために事前にできることがあります。

  1. 20歳以上の女性は子宮頸がん検診を定期的に受けてください。
  2. パートナーがいる男性は、パートナーに子宮頸がん検診を受けてもらってください。
    検診を受けられるように、言葉で促すだけでなく、時間をあげてください。
  3. ワクチン接種対象のお子さんがいる方は、ワクチン接種を前向きに検討してください。

個人的には、早期発見でも十分辛い経験でしたので、早期発見でよかったとは簡単には言えません。
でも検診を受けていなかったら、命に関わる事態になってしまったかと思うと、本当に検診を受けていてよかったと思っています。

まだ若いし、今元気だし、自分ががんになる訳ない。

それが多くの人の本音だと思います。

忙しい。他にやることがいっぱいある。病院が混んでいるから嫌。

検診を避けてしまう理由もたくさんあると思います。

でも、がんになると一時的にでも生活は変わってしまいますし、人生に大きく影響してしまうこともあります。

人間の心理として、将来の起こるかわからないリスクより目の前の生活を重視するのは当然です。
それでも、少しずつでも「がん検診」を受けることが当たり前の世の中になっていけばいいなと思います。

がん検診を受け、がんで人生が変わってしまう人が1人でも減って欲しいと願い、今回の記事のまとめとしたいと思います。

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